「氷」というタイトルが、目を引く、彼女のセカンドアルバム。

上記の記事でも少し紹介しましたが、二曲目に入っている「メッセージ」という曲が好きで、購入しました。
時代に迎合しない、独自の世界観を守った曲作り。作詞も作曲も全て彼女が行っています。
小学生か、中学生くらいのときに買いました。
どれも好きな曲です。何度も聴きました。
宇徳さんの声と曲と歌詞は、時代の流れの中で、ちょっと離れた場所に浮く自然豊かな島のように、不思議な魅力を持っているように感じます。
ずっといられる訳ではないけれど、誰かを連れてまた戻って来たくなる。といった感じでしょうか。
「あなたが世界一」
この曲を聴くと、流されがちな日々の中でも、自信や勇気を持って、肩ひじ張らずに人を慕うことができるように思えます。
冒頭からサビまで、遊び心がつまった、どこかコミカルな曲調で、表情をコロコロと変えて聴かせてくれるので、とても楽しみながら聴けるんですが、サビにきた途端、ガシッと心をつかまれるように、「あなたが世界一」と清冽な印象で響かせます。
失敗ばかりしても、やっぱり誠実に人を愛したいと思う人には、より感じるものがあるのではないでしょうか。
凛とした歌声が耳に残る名曲です。
このアルバムのいいところの一つに、歌詞カードの構成も挙げられます。
ご本人の端麗な容姿や風景写真が、曲に合わせて載せられているので、より世界観に入りやすく、馴染みやすい仕上がりになっています。
言うなれば、良質な短編映画を観ているような気分で聴けるのが魅力ですね。
「愛の戦士~I’m a Fighter~」
独特で、解釈の難しい側面を持ってはいますけれど、全体的な雰囲気がいいです。
荒野を歩いているような、喉の渇きを覚えるような、なんだか過酷な旅に出たくなるような曲になっています。冒険心をくすぐるファンタジックな一面は、彼女の才能の一つでしょう。
間奏部分のメロディーが、またキレ味のいい演出をしています。日常で聴くのが却って面白い曲かもしれません。
「YEAI YEAI」
その通りだと前向きにとらえられる部分と、強がる女性の笑顔という二つの感情が、一番と二番で小気味よく歌われています。
特別盛り上がりを見せる訳ではないですが、歌詞を読んだとき、紹介しておきたいと思った一曲です。
至って普通の毎日を送っているような人物設定なのに、とても惹きつけられる人間を描いています。
例えるなら、いつも見ている見飽きた風景が、アニメーションで描かれただけで価値を高めて映し出されるといった感覚と、似ているように思います。
宇徳さんの声だから、そう聴くことが出来るのだと思います。
「メッセージ」
歌詞とメロディーが、まるで運命の相手同士のように、気持ちよく結びついて、彼女の清潔で力強い声とともに夜空へ駆け上がっていくような、ファンタジックな印象を与えてくれます。
恋した女性の弱さや本音を、飾ることなく描き、決定的な失恋の原因をも、芯の通った歌声で響かせています。
ただ聞いているだけで心地いいので、歌詞の意味まで案外到達しないまま満足してしまいそうですが、ちゃんと歌詞も読むことで、とても愛らしい、応援したくなるような恋心に触れることも出来る、素敵な歌だと思います。
こういう曲と言うのは、聴いている自分だけでなく、聴かせたい人をもちゃんと選べるように思うんです。
いい曲の似合う、素敵な恋のお相手に、ぜひ届けてほしいなと思う一曲です。
「不思議な世界」
タイトル通り。神秘性のつまった一曲です。
おそらく聴いたことがある方もいると思うんですけれど、歌詞カードを見ながら聴くと一層、その曲のイメージがふくらみます。
宇徳さんが白黒写真の中、木漏れ日がさす森の道に、静かに立っているという構図なんです。
誠実な愛し方のように見えて、とても利己的な面がある。それなのに、メロディーと声の神秘性が深い霧のようになって、全てを包んでしまっている、なんとも言えない危うさも秘めた美しい一曲になっています。
まさに森の中を一人歩きながら、聞き入ることをおすすめします。なにか不思議な出来事と出会えるかもしれません。
「あなたを探してる」
とてもテンポのいい曲です。
激しさと、ユーモアと、ある種恋愛依存のハチャメチャさを歌っているので、自然と高揚してリズムにノッてしまいます。どうにでもなれっていうか。
酔っ払った美人が、ロックグラス片手にバーテンに絡んでる光景があるなら、そのままの情景を描いている曲と言えちゃうかもしれませんね。
恋愛姿勢としては成功とは言えませんが、そんな気持ちで夜を過ごすのも、長い人生においては避けられない関門だとも思います。
テンポのよさがあるおかげで、気軽に聴ける恋愛賛歌と言えるでしょう。
いくつか紹介しましたが、やはりこう改めて書いてみても、彼女の世界観は変わりゆく時代を求めても、憂えても、それに汚されてもいない、ただ自分として生きている結果こうした曲が出来たのだと、自分らしくいる重要性を十二分に伝えてくれてる感じがします。
さまざまな流行が生まれて行く中で、永遠に沈まない浮島のように、ずっと同じ場所で流れ続けている名曲に、少しだけ耳を傾けてみるのもいいかもしれません。
全て紹介できていないので、また次の機会に、他にある素晴らしい曲たちについても書きたいと思っています。
今の時代の悩みも痛みも、全て氷のように溶けていきますように、と願いつつ。今回はこのへんで。