僕が初めて自分のお金で買ったCDは、ZARDのベストアルバム、「ZARD BLEND~SUN&STONE~」ジャケットの景色も美しい、すばらしいアルバムでした。まだ僕が十二歳のときのことです。
あの頃はCD需要の全盛期で、ミリオンヒットが当たり前のように生まれていた時代。
音楽番組も豊富で、才能あるアーティストたちがひしめき合うオリコンチャートをチェックするのは、欠かせない習慣となっていました。ZARDは一位の常連でした。
この歳になると、当時のテレビやラジオから流れて来る音楽の周りには、まだ見ぬ夢が、風に吹かれる新雪みたくキラキラと舞っていたように感じられ、とても感慨深い気持ちで思い返せたりします。大変多くの才能や音楽が時代を作っていました。
そうした中で、そもそも何故ZARDを好きになったか、今でははっきり思い出せないのですが、おそらくこのアルバムに関しては、「心を開いて」のメロディーが好きだというのと、アルバムの色とか、形とか、視覚的な理由が多くあって購入したのだと思います。背景の青が、とても印象的なんです。
近所のCDショップで買った記憶が、ぼんや~りと残っていますけれど、これは後付けな感じがします。思いだせるとテンション上がるんですけどね。💦 そのお店は、CDの購入者には、好きなアーティストのポスターを一つ貰えるサービスがあったんですけれど、お目当てのアーティストのポスターを探していたことを今でも思い出します。
時代の流れとは言え、よく行った町のCDショップが閉店してしまうのは、なんとも言えず切ないものでした。
二十年以上前のCDが手元にありますが、今では薄汚れて、色褪せて、盤面も傷だらけです。一応聴けるとは思います。
もう何度聴いたか分からないくらい、どの曲も大好きです。もちろん今でも聴きます。
「心を開いて」
この曲がきっかけとなってZARDを好きになりました。
サビの、「このままずっと忘れたくない」というフレーズは、当たり前のように聴き続けてきましたけれど、改めて心を揺さぶる歌詞だなと感じます。
タイトルの意味が、曲全体を通して様々な角度で表現される技巧は、やはり彼女を只ものじゃないと思わせるに十分な答えとなっていると思います。
小学校の時は、まだサビ以外の内容にピンと来ていませんでしたが、歌詞、声、メロディー、と三者一体となった彼女の魅力は、この一曲の視聴で、子供心にしっかり感じとることが出来ていたのだと思います。
夏には「揺れる思い」が最高です。
冒頭の歌詞から、季節の訪れを盛り上げてくれます。
青い空や、輝く波間、美しい風の匂い。
彼女の歌声は、自然の豊かさを表現するのにピッタリだと思います。
前向きで芯のある詞の世界が、爽やかな夏のきらめきとなってどこまでも広がっていきますが、とくに晴れた日、海岸沿いを歩きながら聴くと、僕は夏の醍醐味を全て味わえるような、充足した気分になれるので、江ノ島海岸なんかにはよく足を運びます。
言わずもがなの名曲でしょう。
「Oh my love」の歌詞も素敵です。
あんな風に、素直に、優しく誰かを好きになれるのなら、いつだって恋をしたくなります。
可愛らしい少女の感情が、大人の目線で描かれたかと思えば、包容力のある眼差しで相手の気持ちを推し量る。
坂井さんの心の豊かさは、こうした歌詞の内容からも感じ取ることが出来ます。
優しい気持ちで人を好きになる大切さを教えてくれる、そんな一曲になっています。
「来年の夏も」
いじらしい女性の恋心が、感傷的な曲調の中で、素直に描かれています。
自分が出会った恋愛に、正直に向き合っている女性には、とても好感を抱きます。
誰に依存することもなく、また虚勢を張ることもなく、自分らしい感情で、恋する相手のことを想う。
こうした歌詞を書ける坂井さんは、強い人だなと感じました。
歌詞は悲しい内容ではないのですが、曲調がセンチメンタルなので、一見別れ話の歌のように聞こえるのも、この曲の魅力の一つです。
間奏部分も盛り上げてくれますし、胸をしめつけるシリアスな歌声も聞き心地抜群です。
幸せなはずなのに、失う恐れをどこかで感じているのでしょうか。
そんな心情まで伝わって来るような、素晴らしい一曲です。
「こんなに愛しても~HoldMe~」は、高学年から、中学生くらいになると、夜中に聴くようになりました。
怖い話とかじゃないんですけど、なんか、どっぷりって感じでしたね。
切なさ中毒みたいな。当時の心境に染みたんでしょうか(笑)
きっとなんらかの痛みを覚えた心には、同じような波長のものが癒しとなって効くのかなと思うんですが、この曲は一人の静謐な夜を強く印象付けるため、簡単には打ち明けられない心の痛みでさえも、そっと隠されるような雰囲気の中で、無理なく正直にさらすことが出来るように感じます。
誰にも頼れない大人の恋と、悲しいほどの純粋な願いを歌ったこの曲は、一人の時間を忘れている人にはよほど、染み入るのではないでしょうか。
アルバムの中から、数曲だけ紹介しました。改めて聴いてもやっぱりいいですね。
坂井さんの歌声も当然好きです。透明感とは、彼女の声を表す際によく用いられる言葉ですが、まさにその通りの歌声だと思います。水晶玉が歌いだしたらこんな感じ。と、自分なりにもちょっと掘り下げてみようと思いましたら、こんな例えしか出ませんでした。
僕はきっと、ああいう、正直な声が好きなんですね。飾り気のない、その人らしい声。
今まで、中々あの声質のアーティストを見つけて来られなかったのですが、例えば、宇徳敬子さんも好きでして、彼女の声はなんとなく近いような気がします。宇徳さんについて書いた記事もよろしければ。

曲や歌詞の雰囲気も大好きで、今でも聴いています。「メッセージ」という曲は確か、電話会社のCMで流れたと思いますので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。僕はそこから入りました。とてもいい曲です。
坂井さんの顔も好きです。綺麗ですよね。僕も女性に惹かれる気持ちは、ちょっとばかしあるものですから、そんな視点から見ても、綺麗だなと思ったりします。
あんなに女性らしいのに、どこか男性的な香りもするからではないか、と個人的には感じていますが、それが彼女の魅力なのだと思います。
ようは少年っぽいんですね。最近制作現場の映像を観たりもしましたけれど、真面目なようで、不意にふざけた部分が見えたり、あれ、今なにを見ているんだろう、みたいな、天然の不思議さもまとっていたり、改めて魅力の多い方だなと思いました。
歌詞にもそんな個性がたくさん出てきます。とても間口の広い、誰でも訪れることの出来るあたたかな世界を、あんなにも豊かに描いてくれました。
そう、今年、町田で開かれたZARD展にも行ってきましたよ。曲作りの裏側や裏話、愛用品、直筆の歌詞なんかも観られて楽しかったです。
一人で聴くのもいいですが、そうした場所でZARDが好きな人たちと一緒に世界観に浸るのも、ライブに行ったような気分で心地よかったです。
こう書いていると、ZARDの曲について、もっとあれこれ話したいという気持ちが溢れてきました。また一曲ごとに焦点をあてて、語りたいなと思います。
寒さが深まって来たこの時期には、「眠れない夜を抱いて」が心軽やかに響くことでしょう。
機会がありましたらぜひご視聴頂きたいと思います。
それでは、また。
